どうも、ホシノです。 さて、今期大注目の選書、栗原康さんの『サボる哲学』の掘り下げ後編です。 今回はまず、本書の冒頭に登場する「いきなりステーキ」のエピソードから。当時、コロナ禍の煽りもあって業績不振に陥っていた同社が、テレビの密着番組で社内改革の様子を放映していました。そこで社長が放った「いきなりステーキがダメなら、いきなりオイスターを作ろう!」というアイデアに、栗原さんは痛く感動したそうです。なぜならそれこそが、社長の「自発」に他ならないから。自発に理由なんていらない、「やっちゃいたくなっちゃったんだから」という人間の衝動こそが最も尊いのではないか、と栗原さんは説きます。 しかし現代のビジネス社会は、計画(PDCA)によって人間を管理し、「自発」という不確定要素を排除しようとしがちです。栗原さんは、そんな管理社会から逃れ、自発性を爆発させて生きた集団として「海賊」の歴史を紐解いていきます。 海賊と聞くと無法者のイメージがありますが、実は非常にフラット組織だったそう。船長は選挙で選ばれ、働きが悪ければ交代させられるシステムだったとか。商船で奴隷のように武力支配されていた乗組員たちが、襲撃された際に喜んで海賊側へと寝返っていったのは、そこが「自発でいられる場所」だったから。利益の追求や計画に縛られない、自由で人間らしい生き方がそこにはありました。 この「やっちゃった」という自発的な生き方は、かつて日本でも一世を風靡した國分功一郎さんの著書『中動態の世界』とも深く繋がっています。能動でも受動でもなく、自分の意思を経る前の「思わずやってしまった」という状態。これこそが、資本主義の支配から逃れるヒントになるのかもしれません。 ほかにも、1970年代に大阪で起きた「田中機械」の工場乗っ取りエピソードなど、思わずニヤニヤしてしまうような、計画を軽やかに裏切る「やっちゃった」話が満載です。 読めば勇気づけられる、今ホシノが最もおすすめしたい一冊。ちなみに著者の栗原さんの写真を見たアワノさんは、「勝手にチェックのシャツを着た小太りの人を想像してたけど、普通にモテそうな人でイメージと違った!」と驚いていました。 Rss Apple Podcaster →