【今回のご紹介本】『普通の人が小説家として生活していくには』(津村記久子 さん / 聞き手:島田淳一郎さん) どうも、です。後半では、対話の面白さから一歩踏み込み、お二人が根底で大切にしているであろう「個人的な体験を言葉にして届けることの価値」について熱く語り合いました 。 個人的な体験こそが人の心を揺さぶる:私自身も「22歳」をテーマにした本(ZINE)を作っていますが、個人の体験やその時の生々しい解釈こそが、読み手にとって一番面白く、もっと読みたいと思わせる部分だと感じています 。カッコつけてそれっぽい言葉でまとめてしまう(怠けてしまう)のではなく、納得いくまで自分の言葉を追求する姿勢にこそ、価値が宿るんですよね 。アワノさんが挙げてくれた1998年長野オリンピックのスキージャンプのエピソード(代表落ちした葛西選手が、仲間のジャンプに対し底知れぬ執着から思わず「落ちろ!」と叫んだという赤裸々な思い)も、まさに人の心を打つ「生の感情」の凄みでした 。思考は「はぐれメタル」。逃げられる前に捕まえろ!:日々感じる大切な思いも、気を抜くと「はぐれメタル」のように一瞬でどこかへ逃げてしまいます 。津村さんは、それを逃さないために「とにかくメモをとる」「会社員のように毎日リズム化して書く」ことを実践されているそうです 。普段、企業の魅力を分解・再構成してわかりやすく伝えるコピーライターとしての私の仕事とはまた違う、自然な人の魅力の伝え方がこの本には詰まっています 。就職氷河期世代と「AKB48」の意外な関係?:対話の中で、聞き手の島田さんがふと「就職氷河期世代の、社会へのどうにもならなさ(愚痴)」をこぼす場面があります 。それに対し津村さんは、完成されたパフォーマンスを見せる「Perfume」と対比させ、「AKB48」が売っていたのは「女の子たちの人生をコントロールできる感覚」だったのではないかと指摘します 。自分の人生をコントロールできず苦しんでいた氷河期世代にとって、その「コントロール不全」を埋める代替品がアイドルというサービスだったのではないか?という鋭い解釈です 。同時に、「でもあなたは安易な方に逃げずに、一人で出版社を立ち上げて自分の人生に向き合ったじゃない」と、被害者ポジションに寄りかけた島田さんの視点を鮮やかに切り替えるやり取りは必見です 。 いわゆるノウハウ本ではありませんが、言葉を紡ぐこと、そして自分の人生に向き合うことのヒントが散りばめられた一冊です 。夏葉社さんのこだわりの装丁も含め、ぜひ実際に手に取って味わってみてください ! Rss Apple Podcaster →