今回は、継続について話をしています。影山くんは、「赤ちゃんみたいに学ぶ」という言いかたをしています。ブッダは、人間の苦悩のもとである生老病死に対して、なんらかの解決策をみつけたわけではないんですよと。ブッタが菩提樹の下で座禅をし行き着いた、ある悟りの境地とは、ずっと同じ問いを考え続けること、なのですよと。影山くんはそれを「赤ちゃんみたいに学ぶ」という言い方をしたんです。解決策を見つけるために、ヒトは思案するのではダメなのだと。答えの出ない問いを、思案し続ける。学ぶ姿勢そのものが、悟りなんだよと。なるほどね、とボクは思いました。なぜか。マメヒコをやっていて、そこで起きうる課題はちっとも解決しません。どんだけ考えたって堂々巡りなことばかりです。(あぁ、一体ボクはなにをやっているんだろう)真夜中の店内で一人ぽつんと、小銭を数えながら思ったりします。しっかりしてないと無力と虚脱に、すぐ苛まれてしまいそうになるんですね。そしてそれは、きっとはっきりとは言いませんけど、影山くんも同じなんだと思います。彼の目を見ればわかります。ボクらはカフェを、一度もビジネスだと思ってやって来なかったんです。うそつけ、だったら金取るな、とバカに言われれば、うるさいあっちいけとムッとしますけど、金儲けだと思ってやらないように互いに気をつけてきたんです。ボクにしても影山くんにしても、お金を稼ぐだけなら、もっとほかの仕事を探したほうがいい。甘っちょろい中年の良心です。ただ、ボクらはその良心を捨ててまで金儲けするような、みっともないことだけはすまい、と約束したのです。良心なんて言い方をしたけど、そんな難しいことではない。ボクらの子供時代、普通にあった、アバウトな人間どうしの繋がりや営み、それをカフェを通して、いまも再現したいだけなんです。おかげさまでした。事業効率なんて尺度で測ったら、さっさと退場したほうがいいボクらも、なんとか理解者たちに応援してもらいながら、理想に近い営みでお店を成り立たせてはいます。ずっと考えてきてよかったと思っています。ボクらの話ばかりしましたが、日夜ヒトのことを優先して考え、今日も仕事に向き合っているヒトたちが大勢、それも目立たぬところにいるのを、ボクは知っています。そのヒトたちを傍で見ていて思うんです。彼らは日常という単調な地平線に、まこと鮮やかに、山と谷をデザインしているなと。いつも自分が周りが、飽きない工夫を考え実践している。ボクは若い頃、誤解してました。継続とは忍耐であり、忍耐とは鈍感であり、持っている感受性を捨て去ることなのだと。そうか継続とは工夫なのだと思ったら、希望が湧いたのです。とまぁまぁ、そんなような話をしています。継続とは、忍耐なのでしょうか?

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